エレキギターであってもボディの鳴りって言葉をよく聞きます。
すごく重要なもののように言われますが、エレキギターは弦振動しか拾わないのに鳴りって意味あるのか?なんとも思います。
実はこのエレキギターのボディの鳴りこそが、ギターの音を作っているのです。
なぜならエレキギターの音は、ボディが不要な倍音を削りその個体らしい音がなるようにできているからです。
この記事では、ギターの音の成り立ちやボディの鳴りから生まれるギター特有の音について解説します。
Contents
そもそもギターの鳴りってなんなの?

いわゆるギターの鳴りというのは、ボディの共振のこと。
ですがその鳴りというものが非常に曖昧で人それぞれ解釈が違い、説明しにくいものです。
なので、まずこちらのYou Tubeを見ていただければ、なんとなく鳴りというものがわかってもらえると思います。
めちゃくちゃわかりやすいです。
言葉では説明しにくい鳴りですが、後ろから支えるようになっている音ですね。
前提としてギターの音には以下の二種類があります
- 弦を弾いた音
- 弦振動によって共振したボディの鳴り
鳴りってなかなか意識しないと感じられませんが、弦の音は弾いた瞬間からパキッと出るのでわかりやすい。
そう、普段僕らが聞いているのはほとんどが弦を弾いた音なのです。
ここで説明していく上で、この二つがあることをまず前提条件します。
ギターのピックアップは弦の振動しか拾わない

ギターには二種類の音があることを説明しました
ただエレキギターについているピックアップは、磁力の変化によって音を拾うので鉄の振動しか拾いません。
つまり弦の音しか拾わないのです。
だからピックアップを変えるだけでいい音になったような気になれるのも事実です。
エレキギターの音を変えるならピックアップ交換だと思ってませんか?
弦交換の際に試してもらえばわかるけど、弦を外した状態でどれだけボディを叩いても音は出ません。
つまりボディの鳴りは、ピックアップでは拾えません。
一応弦を弾いた音が共振し、また弦に帰ってくるなど鳴りに関しては諸説あります。
ただボディの鳴りをピックアップが拾うなんてことはないといって良いでしょう。
鳴りの良さで言えばレスポールよりストラトのほうが良く鳴る
レスポールのほうが太い音がする。これはよく言われることです。
ハムバッカーとかシングルコイルとか色々あると思いますが、レスポールの倍音の多い柔らかい音と言葉があるくらい。

そう考えると、レスポールのほうが鳴りの良いギターであるように感じます。
しかし実際に弾き比べてみると、ストラトのほうがボディが良く鳴ります。
生音が大きいのです。
ストラトのほうがジャキジャキしてカッティングなどに向くと言われますが、鳴りはストラトのほうが良いのです。
不思議ですよね。
ストラトといえば。
- ボルトオンネック
- シンクロナイズドトレモロ
そのためネックもブリッジも音を響かせやすい。
対してレスポールは。
- 全身マホガニーの重いボディにセットネック
- 更にメイプルトップのボディに直付けされたチューンOマチックブリッジ
これはこれは弦の振動程度ではなかなか共振できなさそうな構造。
上記のことから、鳴りの良いギターはジャキジャキと歯切れのよい音をだし、鳴りの弱いギターは倍音の多いふくよかな音を出すと言えそうです。
ボディの鳴り、いわゆる共振を作り出すのは弦の振動

つまり鳴りが良いということは、弦の振動をそれだけボディの共振に使っているということ。
つまり弦の振動エネルギーをそれだけ奪っているわけです。
弦の振動エネルギーを奪っているわけですから、サスティンが短くなるということは容易に想像できると思います。
ここで巷でよく言われている、

鳴りの良いギターはサスティンが長い(キリッ
という理屈がおかしいこともわかっていただけるでしょう。
なんというか、エレキギターの鳴り至上主義はちょっとずれているのはここが発端でしょう。
まぁ鳴りの良いギターが良いのであれば、アコースティックギターにピックアップつけりゃ良いわけです。
でもそうもならないから、エレキギターがあるわけです。
ところで、ボディが弦の振動を奪っているということはピックアップが拾う弦の振動音が減っているということ。
アコースティックギターであれば弦の振動でボディを共振させて、大きな音を鳴らせる目的があります。
ですがエレキギターはボディがなるほど弦の音が減退し、ピックアップで音が拾えなくなっていくわけです。
なんかギターの鳴りとしては思っていたのとは違う方向に進んでいますが、ここから見える一つの結論はこれです。
ボディの鳴りはコンデンサーのようなもの

そういったことから結論を出すと、ボディの鳴りは弦の音から不要な倍音を抜き出すコンデンサー的な役割を果たしているのではないかということです。
弦を弾いた音を100%として、そこからそれぞれのボディが特徴とする共振ポイントで倍音を削っていく。
逆に共振しにくいボディは弦の100%に近い音を出せる。
とはいえ100%の音が必ずしもいいわけではないことは、ギターを弾いてるあなたなら体感していることでしょう。
そして木材の違いは、ギターのトーンポッドにつなぐコンデンサーに種類がたくさんあるようなもの。
その木材の使い方材質でギブソンらしい音、フェンダーらしい音、が成り立っているのではないでしょうか。
つまりエレキギターはマイナスの美学で成り立っているのです。
アコースティックギターは豊かな鳴りを、エレキギターは不要な鳴りを

エレキギターはあくまでアンプから出た音が重要で生音は正直どうでもいいものです。
そのためピックアップでかっこいい音を拾うために、ボディの鳴りで不要な振動を切り落としている。
だからレスポールタイプは共振が弱く倍音が多いしストラトは共振が大きくチャキチャキとアタックのある音になる。
そしてストラトはフロイトさせてスプリングで振動を吸収させてさらにチャキチャキした音を作り出せる。
そう考えるとエレキギターってほんとネガティブな楽器です。
アンプは真空管を普通とは違い負荷をかけて歪ませて使うし、本体は弦振動から音をマイナスしながら音を作り出す。
本来の100%ではない自分の好みを追い求める。
これがエレキギターの魅力であり不良と呼ばれる所以なのかもしれませんな。
というわけでまとめます。
- アコギはポジティブな鳴り、エレキギターはネガティブな鳴り
- エレキギターのボディ鳴りはコンデンサー
- ボディは鳴れば良いものでもないし、鳴らないほうが良いものでもない
普段僕はエレキギターのトーンポッドは使わないのでわかりませんが、きっとトーンをよく弄る人はこの感じわかってもらえるのではないでしょうか。
ハイが出すぎてもキラキラし過ぎだし、吸収しすぎても抜けない。
この絶妙なバランスが優れたものが、良いエレキギターだといえるのでしょう。
ギターは鳴りがいいものが良いとか、音には全然関係ないとか色んな意見があって本当にわからない。
ギターの鳴りってそもそもなんなの?
鳴りのいいギターが良いものなの?
誰か教えてにゃ。