音の肝心要であるピックアップを交換すれば良い音が出る!なんて思っていませんか?
実はピックアップ交換する前に、音を変える方法はいくつもあるのです。
なぜならギターはマイクの高さやボリュームノブ、ピッキング位置など本当に変わってくるからです。
今回はエレキギターの音を良くするためにピックアップの交換やそれ以外での音のアプローチをお話していきます。
僕自身高校生でギターを手にしてから約20年。お金が比較的自由に使えた学生時代は新品から中古までたくさんのギターを購入しては横に流し、改造をしていました。
おかげで自分のエレキギターの簡単な修理や調整はもちろんのこと、たまには仲間のギターの調整を請け負ったりしています。
今回の記事をよんでもらえば、あなたもピックアップ交換ができるようになりますし、ギターを自分好みの音に調整できるようになります。
Contents
ピックアップ交換する前に試してみたい方法
ピックアップ交換をする前に現状の音にどんな不満があるかをはっきりさせておく必要があります。
そうでなければせっかくピックアップを交換しても無駄になってしまうからです。
ピックアップ交換は自分でも可能ですが、自分でやるとなると失敗などのリスクもあります。
それにプロに頼むのもやってみたけど思ったほど効果がなかったでは報われません。
それにこの程度の音色の変化ならギターの調整でなんとかなったということは往々にしてあるからです。
ですからまずは交換する前に試してほしいことが3つあります。
- ピックアップの高さを変える
- ボリュームを調整する
- トーンを調整する
ギターの音は、こういったことでも十分に変化を感じることができるのです。
ピックアップの高さを変える
ロックギターをひく人は、密度の高い歪みサウンドにしびれると言う人が多いです。
そのため
ギターの出力が足りないからもっとパワーのあるピックアップに交換するにゃ!
という人が多い。
まぁ僕がそうでした。
ただ単純に出力がほしいのであれば、まずはピックアップをエレキギターの弦に近づけることから始めてみましょう。
これはかんたんな話、カラオケを想像してもらえればよいです。
歌う時にマイクを口に近づけるほど声の音量は上がり、遠巻きにするほど声が小さくなります。
ギターのピックアップもそれと同じで、弦に近いほど音量は上がりますし、離すほど音量は下がります。
ですからあなたが今より出力がほしいのか、それともコントロールしやすい音量がほしいのか。
それに合わせて、ピックアップの高さを変えてみてください。
エレキギターのピックアップの高さは1弦が1.5~2mm、6弦で2mm~2.5mmが目安です。
この高さを元にして、そこから自分の好む音が出るように試してみてください。
僕のようにEpiphoneのレスポールにバーストバッカー3を取り付けるのは、その後でも間に合います。
ボリュームを調整する
ピックアップを弦から十分に離してもまだ出力が強くて、良い感じのクランチにならない。
そんな場合は、エレキギター本体のボリュームを調整してください。
エレキギターのボリュームノブは、フルテンの状態は人間で言う叫び声みたいなものです。
常に高出力を必要とするロックギターなら良いです。
でもクラシックなロックや上質なクリーントーンを出すにはちょっと耳障りだったりします。
例えば、クランチサウンドがきれいに出ない場合。
レスポールなどに用いられるハムバッカーピックアップは、出力が高く中域の強い音です。
そのためなかなか気持ちの良いクランチサウンドがでないのです。
ただそれはあくまでフルテン(ボリュームがMAXの状態)でのこと。
ギター本体のボリュームノブを絞って出力を抑えてピックアップセレクターをハーフにする。
するととても気持ちの良いクランチの音がうまく再現できたりします。
まだピックアップを変えずとも、エレキギターのボリューム調整で求める音が作れるのです。
トーンを調整
出力される音がキンキンしてリードを弾くのに好みでないという場合、トーンを絞ることでそれを解決できます。
トーンはギターの高音域を削って耳障りの良い音にしてくれるスイッチ。
自分の好みになるまでいくら回そうと、ピックアップ交換のようなお金はかからないので安心してください。
例えばウーマントーンというエリッククラプトンの代名詞のような音を出したい。
そう思って同じピックアップを使っても、同じ音が出るかといえばそういうものではありません。
ただそれらしい音を再現する方法として、クラプトンがやっていたようにエレキギターのトーンのノブを絞ってみましょう。
トーンをガッツリ絞るとどんどん高音域が削られ、あの鼻をつまんだような特徴的な音が聞こえてきます。
つまり、ピックアップの交換よりも効果の出やすいエレキギターの調整はいくらでもあります。
交換するピックアップを選ぼう
ギター本体で音を変える方法を紹介しました。
それでも思った通りの音が再現できなかったり好みの音にならない。
というのであれば、ピックアップを本格的に交換するしかありません。
ただピックアップにはシングルコイルやハムバッカー、EMGなど種類だけでもいろいろありますし、それぞれに大きな特徴があります。
これらの特徴を確認して、自分の目指すトーンがそこにあるのかしっかり調べてみてください。
シングルコイル
エレキギターが出始めた頃は、ほぼすべてのギターがこのタイプのピックアップでした。
基本的には必要十分な出力で弾き手のニュアンスが出やすく、高域が綺麗に出るのでジャキジャキしたカッティングをしたい人からソロギターを奏でたい人まで、幅広いニーズに合わせやすいです。
シングルコイルのピックアップを搭載しているストラトキャスターは、現在ではエレキギターのスタンダードのような存在となっていますね。
ただ同じシングルコイルでもコイルの巻数をかなり多くして、ハンバッカーを超える出力を持つピックアップも存在します。
シングルとハムのいいとこ取りができるこういったピックアップも面白い存在ですね。
ハムバッカー
先程のバランスの良い出音のシングルコイルですが、弱点としてノイズに弱いという側面があります。
それを解消するために、逆巻きのコイルを2つ合わせてハムノイズを打ち消すという、画期的なアイディアで登場したのがこのハムバッカーです。
基本的に出力が高くて中音域に特徴のある音で、パワーコードをブリッジミュートでザクザク刻んだり、中域の強い妖艶なトーンでソロギターを奏でたい人にはたまらない音です。
ハムバッカーを搭載したレスポールモデルは、今でも熱い人気を持たれています。
ハムバッカータイプのピックアップにはこういったシングルサイズのハムバッカーも存在しています。
ストラトやテレキャスなど、シングル前提のギターにハムバッカーが欲しい人は、こういった選択肢もありですね。
EMG
上記の2つはパッシブピックアップといって、出力を上げるためにはコイルの巻数を増やさなくてはならず、ノイズとの戦いが定められているマイクです。
EMGはアクティブピックアップというもの。
ノイズを抑えるためにコイルの巻数を抑えており、その出力を補うためにプリアンプが内蔵されたピックアップです。
そのためノイズには非常に強く、出音も安定しているのがこのピックアップの特徴です。
こちらにもシングルタイプもハムバッカータイプもありますが、両方を切り替えできるEMG89というピックアップも存在しています。
自分の環境に合わせて選ぶことができますよ。
ピックアップ交換は道具さえあればできます
エレキギターの改造の定番でもあるピックアップ交換。
エフェクターやアンプなど、ある程度使い込んでくると、なんとなくギターの方を調整してみたくなるものです。
ただエレキギターのピックアップは本体の中に内蔵されている部品ということもあり、エフェクターなどと比べると若干居が高く感じられますね。
しかし道具さえ揃えておけば、案外簡単に交換できてしまうものです。
- ハンダコテ
- バスタオルかもっと柔らかい布
- ハンダクランプ(あったほうが楽)
これらがあればDIYで十分可能です。
配線に関しては、オリジナルのままでピックアップだけの交換を考えているのであれば、元の状態を色んな角度からスマホで写メっておけばよいです。
もしちょっと配線を変えてみたいという場合は、以下のようなサイトから配線図を拝借することも可能です。
ピックアップを交換する手順
ピックアップ交換はハンダコテを使わないといけないので、やけどや火災などに注意してください。
ピックアップ交換をする前に、大きめのダンボールを床の上に、そして柔らかいタオルを敷いてその上にギターをおけば、傷などは防げます。
みえるかな?
ちなみに用意するハンダコテは30~40wでも良いとよく書かれています。
でもHOTは問題ありませんがPOTのアースなんか全然溶けなくてイライラします。
その上長時間POTに熱を与えると抵抗がだめになりますので、はじめから60w出力のハンダコテを用意したほうが良いです。
今回はTAKDCのピックアップ交換を例にあげていきます。
- まずは弦を外しましょう。
ピックアップを外さなくてはいけませんから、弦を張ったままだと難しいです。
- 次にボリュームのノブを外しましょう。
ピックアップを外す場合はポットの裏のハンダも残りやすいです。
できればとりはずしてからハンダ吸い取り機などでポット裏を一度きれいにしたいところ。
- 次にハンダコテで溶かしながらポットからピックアップを外します。
これでピックアップの配線は独立しましたね。
後はついでにポットも取り外して、裏のハンダも溶かしてきれいにしましょう。
そしてボディからエスカッションを外してピックアップを引っ張れば、抜き取り完了です。
これでピックアップの取り外しは完了です。
ここまででこんな感じになるはずです。
次は新しいピックアップを取り付けていくので、逆の手順で回していきます。
レスポールタイプの場合はエスカッションを新旧のピックアップで交換しておきます。
まずはエレキギター本体のピックアップのザグリから、キャビネットに向けて配線の穴にピックアップのコードを通します。配線を通してキャビネットの方に顔を出したら引っ張って中に入れます。
そしたらボディにピックアップを取り付けてしまいましょう。
これでボディに固定されますね。
そして次に配線をしていきます。
とはいっても元々あった場所に配線していくだけですから難しいことはないように感じます。
しかし思いのほか配線が動き回るので取り付けしにくいのです。
やけどしないように気をつけて配線してください。
まずは配線に予備ハンダをしましょう。
HOTの方にもちょこっと、コールドの方はPOTの表面に薄く張っておくと良いです。
あとはハンダコテで温めてくっつけるだけです。
ここまででピックアップ交換は完了です。
僕の手順ではなかなかわからない場合はこちらの動画が非常に参考になります。
とりあえずピックアップ交換で重要なのはボディを焼かないこと、接地面積を増やすことです。
ボディを焼くとけっこうショックを受けますし、接地面積が少ないと十分な電動が行われないので、音質低下に繋がります。
ちなみにリペアや楽器屋さんで頼むとピックアップ交換は工賃だけで¥5,000~¥7,000ほどかかります。
ご自身でやる自信がない人はもちろんですが、半田の盛りすぎな音も聞き分けられるという人は、無難にショップで頼んだほうが良いでしょう。
ピックアップを替える目的を一度考えて
ピックアップ交換は出音に大きな影響を与えますが、実は交換しなくても出力される音はギターの調整で変えられるというお話しをしました。
エレキギターの調整で出音が変化させられるということは、ピックアップの交換で重要なのはそのギターのどんなところを修正したいかという目的です。
先程クラプトンの例でお話しましたが、ピックアップを変えたからといってアーティストと同じ音が出るわけではありません。
ピックアップはぶっちゃけただのマイクです。
例えボーカリストが使うマイクを変えても、声が別物に変わったりすることってほぼありませんね。
ステージの定番であるSM58を使っても、歌の上手い人と下手な人がいるのがそれを証明しています。
そのピックアップに交換することでどういった目的があるかをはっきりしておかないと無駄になることが多いです。
例えば
・高出力の音がほしい、もしくは低出力でニュアンスを出したい
・ハムバッカーじゃなくてシングルのジャキットした音がほしい
・ノイズを減らしたい
・搭載しているピックアップがどうもならないほどだめ
他にもたくさんあるかもしれませんが、こういった理由があると思います。
もちろん4つ目の通りピックアップによっては作りが悪く、音がこもりすぎているなど綺麗に出ない場合もあります。
ただそれでもせっかく変えるからには現状から音をどうしたいのか目的をはっきりさせましょう。
でなければ同じような特性のピックアップを購入してしまえば、結局無駄遣いになってしまいます。
ピックアップ交換の沼にはまらないように
エレキギターのピックアップを交換すると、まるで別物のようになったような気持ちにで気持ちのいいものです。
ただそれもつかの間、またすぐにいじりたくなってくる悪い虫が出てくるものです。
ピックアップの次はサーキット内を回す配線材や可変抵抗のPOT、接続するジャックの素材など、次々と替えたくなるでしょう。
ただここで誤解のないように言っておきますが、エレキギターの音を決めるのはピックアップだけではありません。
エレキギターの出音はアンプが5割、弾き手の癖が2割、ギターが1割、その他諸々で3割です。
エレキギター自体の特性が1割程度の影響力なのに、ピックアップはその中のどれだけを占めるでしょうか。
もちろん出てない音を付け足すことはできないので、エレキギター自体からの出音に拘るのは重要ですが、ピックアップを変えるとギターの音が全く別物になるわけではありません。
ピックアップを交換するときは、目的をしっかりと持ってピックアップ交換を行いましょう。
では、よいギターライフを!
手っ取り早くエレキギターの音質を向上させるにはピックアップ交換が良さそうだにゃ。
でもこれって自分で交換することできる?
それにピックアップって結構なお値段するから、あんまり効果がないと悲しいにゃ。