エレキギターは自分の好きなアーティストのモデルがあったり弾きやすい形はこれといった定番があったりと選びやすいですが、ギターアンプって意外とよくわからないです。
歪みが違うとか真空管がとかいわれてもそんなに違いがわかりませんし、もしアーティストモデルだ!とかいって見た目だけで大型スタックアンプなんて買おうものならほぼ使いみちがありません。
今回はそんなギターアンプ選びの悩みを解消します。
僕自身、高校生のときにエレキギターと出会って気がつけばやわら20年。
ギターを買いまくったりアンプを買いまくったり、せっかくライブに重たいアンプを持っていったのに音が出ない時もあったりと、いらない経験は豊富にあります。
そして今も現役バンドマンとしてライブ活動や楽曲配信をメインに活動しています。
ギターアンプの種類を細かく紹介

今回はあなたにあったギターアンプの選び方をご紹介するために、まずはギターアンプの種類を解説します。
ギターアンプはエレキギターとの相性なんかもあり、こういった音にはこのアンプとこのギターといった定番の組み合わせもあります。
まずはギターアンプの特徴をひとつずつお話していきます。
真空管アンプかトランジスタアンプか
数あるエレキギターのアンプ論争の中、一番声高に言われるのが真空管orトランジンスタ論争です。
真空管アンプって?
真空管アンプはギターの音の代名詞のようなもので、エレキギターの歪んだ音はほぼ全てが真空管アンプの音をもとに作られています。

ギターから入ってきた音を真空管という電球のようなもので増幅していき、負荷を与えるとチリチリと歪みはじめます。
それでいてW数を感じさせないパンチのある音、ゲインを上げると徐々に自然に歪んでいく音はとてもつややかです。
ただ真空管は消耗品でメンテナンスが必要であったり、アンプ自体も非常に大きく重いです。
その上移動の振動などに弱く、手荒な扱いができないので扱いには細心の注意が必要です。
トランジスタアンプって?
トランジスタアンプには2つの特徴があります。
- 真空管アンプに比べて非常に小さく、安価に作ることができる
- 音はレンジが広く、下から上まで非常に綺麗になる
そのため小型のアンプであってもスタックアンプ並みの大出力だったりしますし、価格面では初心者の初めての練習アンプとしてもお手頃。
多少手荒に扱っても壊れにくいので、機材の持ち運びにも安心感があります。
そして音の出力はレンジが広いためエフェクトののりが良いのが特徴。
これはエフェクターで音をつくる人はもちろん便利ですし、開発する側としては往年のアンプをモデリングしたアンプを開発するなど、応用がきくのが良いところです。
そのため現代ではトランジスタアンプも真空管アンプと遜色ないような自然な音を出してくれます。
真空管とトランジスタはどちらのアンプを選ぶか、は今となっては使い勝手や好みで選んで問題ありません。
補足ですが、本来のトランジスタアンプは真空管のようには歪まず、音量を上げて限界を越えると、突然ノイズのようなひどい音になります。
トランジスタアンプがきれいに歪んでいるのは、歪んだ音をデジタルで再現しているからで、基本的にトランジスタで歪ませることはしません
自宅で使うものか、ライブで使うものか
ギターアンプは素材の違いの他に目的も重要です。
もし自宅練習で使うアンプに100Wのマーシャルアンプを使えば、音がでかすぎて近所迷惑を通り越して追い出されるでしょう。
もしライブに10Wの小型アンプを使えば客席に音が届かず、エアギター状態になれます。

ライブで使うアンプとなれば自分のギターの音をオーディエンスに印象づけるのに、大きく左右する選択になります。
40W程度のアンプをボリュームMAXでバンバン歪ませて使うもよし、100Wのアンプで余裕をもったパワーで演奏するのも良いです。
なのでまずは自分の出したい方向性をはっきりさせるのが良いでしょう。
自宅の練習用にするのであれば、トランジスタアンプで10W程度であれば近所でじゃまにならない音量のものになるでしょう。
真空管はトランジスタより音量が大きい傾向があるので、1Wとか0.1Wとかがいいですね。
このときヘッドフォン端子など夜間でも練習できるような機能が搭載している、多機能なアンプを選ぶと便利です。
スタックアンプやコンボアンプ、モデリングアンプや小型アンプといろいろある
使用目的やアンプの構造の違いをお話しましたが、アンプには沢山の種類があります。
スタックアンプ
ライブハウスなどによく上手で見かけるやつですね。
ヘッドアンプと呼ばれるアンプ部分とキャビネットと呼ばれるスピーカー部分がセパレートになっているタイプのアンプです。
ライブや練習でもヘッドだけ持ち込んで使うということもできますし、スピーカーとアンプメーカーをあえて別にして自分の音を選ぶこともできるなど、幅広い選択肢が可能なアンプです。
ライブで使うギターアンプを想像すると、だいたいこのタイプのアンプを想像する人が多いのではないでしょうか。
最近では小型のヘッドアンプも出てきており、持ち運びにも便利なので個人ユースがしやすくなってきています。
コンボアンプ
先程のヘッドアンプとキャビネットが一体化したアンプです。
一体化していること以外は似たところが多いですが、スタックアンプのようにキャビネットの裏が密閉されておらず、アンプの放熱用に開いているので音質が変わります。
さらにセパレートタイプに比べてボディが小型化されているので軽いですし、持ち運びなどを考えても扱いやすいアンプです。
モデリングアンプ
デジタル処理で様々なギターアンプの特徴をモデリングしつつ、さらにコーラスやディレイなどと言ったエフェクトも内蔵した、とても便利なアンプです。
昔はこういったアンプは

デジタル臭くて好みじゃなーい
という意見も多くありました。
しかし最近の技術はすばらしく、違いはほとんど好みとして捉えられるくらいにまで進化。
むしろ上で紹介しているアンプのように、真空管を使ってモデリングしているアンプもあるのです。
プロも納得のクオリティでライブで使うユーザーも増えています。
コンボタイプだけではなくスタックタイプのモデリングアンプもあり、見た目重視という人にも実戦投入しやすいアンプとなっています。
小型アンプ
10W程度の低出力アンプで、自宅での練習やちょっとした音合わせ、野外でのライブなどにも使いやすいサイズのアンプです。
音量も控えめなので練習としての用途がメインとなりますが、安価なトランジスタアンプだけではなく真空管を搭載した本格的なギターの音を堪能することができるものもあります。
メーカごとの特色もある
ファッションや車などにメーカーの特色があるようにアンプにもそれぞれの特色があります。
マーシャル

ロックギタリストなら言わずもがな。ギターの歪み系アンプといえばマーシャルというイメージです。
あの強烈な歪サウンドで有名なBOGNERも、はじめはマーシャルのモディファイから始まっているほど、元祖のギターアンプです。
トレブルが強めのギャンギャン歪むギターサウンドはレスポールタイプのギターと組み合わせるととてもバランスの良い音に仕上がります。
ライブハウスやスタジオに入ると必ず1台はおいてあるロックアンプ。
フェンダー

フェンダーといえばストラトキャスターやテレキャスターなどのエレキギターを思い浮かべる人が多いと思いますが、ギターアンプも作っています。
クリーンサウンドからクランチサウンドが非常に綺麗で、どちらかというと渋いギターを弾く人が使っている印象です。
ストラトキャスターなどのフェンダー系ギターとの組み合わせは抜群です。
Roland

ギターアンプでRolandと言われてもなかなかピンとこない人は、JC120という名前を聞くと思い出すでしょう。
エフェクターではBOSSという一大メーカーを作り上げた、音楽業界ではかなり幅を利かせているメーカーです。
Rolandのアンプと言えば硬さときらびやかさを感じさせる、よくも悪くもトランジスタらしいアンプです。
しかしその頑丈さやどんな環境でも音に変化が出ない作りが人気を博しており、どこのスタジオでも1台はおいてありますし、安心して使うことができるアンプです。
エフェクターで音を作り込むという人にはぴったりなアンプです。
VOX

VOXといえば往年の名作、AC30が有名です。
近年でも映画ボヘミアンラプソディーでブライアン・メイのギターソロのシーンで出てくるなど、特徴的なサウンドの人に多い印象です。
中域が強く温かみのあるサウンドが特徴的で、ストラトキャスターなどと組み合わせるときらびやかさと柔らかさが重なる、とてもギターらしい音を奏でてくれます。
ギターアンプ選びのフローチャート

では肝心のギターアンプですが、どのように選べばよいのでしょうか。ここでは簡単なフローチャートを作ってみました。小型アンプからスタックアンプまで、どのタイプを選べば良いかが一目瞭然にわかりますよ。

はい、異論は認めますが、アンプを選ぶ際の1つの指標にはなります。
アンプとキャビネットの相性まで、音にとことん拘るスタックアンプ。
自分の好きな音が決まってるコンボアンプ。
いろいろなアンプの特性を知りたいモデリングアンプ。
自宅で練習するのに十分な大きさの小型アンプ。
それぞれ選び方はいろいろですが、次にそれぞれでおすすめのアンプをご紹介していきます。
自宅練習におすすめのアンプ

ではフローチャートの結果ごとにおすすめのアンプをご紹介していきます。
小型アンプ
自宅練習用の小型アンプはこういったものがあります
マーシャルMG10
ロックギターアンプと言えばマーシャルです。そんなマーシャルから出ている自宅練習用に最適な小型アンプがこのMG10。
マーシャルらしいサウンドはもちろんのこと、Line入力で演奏に合わせた練習やヘッドホン端子に接続して練習もできるので、練習が捗るアンプです。
VOX AC4C1-12
真空管を使ったフルチューブアンプの小型アンプです。
自宅の練習ならばこれ一択じゃないかと思えるほどのできの良さとコスパですが、マーシャルのようなライン入力やヘッドホン接続ができない上、真空管なので音がそれなりに大きいです。
ギターの微妙なニュアンスなども出しやすいので、ある程度音が出せる環境にある人はこのアンプをおすすめします。
BOSS KATANAmini
手頃な大きさと、更に外に持ち出せるバッテリー駆動を持ち合わせており、様々なシーンで使いやすいギターアンプです。
アンプタイプもクリーン/クランチ/ブラウンとバリエーションも多く、アンプの可能性を広げてくれるでしょう。
モデリングアンプ
では色々なメーカーのアンプをモデリングしたアンプをご紹介していきます。
ローランド MICRO CUBEGX
エフェクターでおなじみのBOSSが長年使っているCOSMアンプ。
こちらを使用して8種類ものアンプサウンドと、自宅でも使いやすいサイズの音量で練習に便利なモデリングアンプです。
とりあえずいろんなアンプを試してみたいという人にはちょうどよいでしょう。
LINE6 SpiderⅤMkⅡ
2000年代にはアンプシミュレーターのPodでその名を轟かせたLINE6。
その高いシミュレーター技術で作り上げられたモデリングアンプがSpiderⅤMkⅡシリーズです。
再現度の非常に高いアンプモデルやたくさんの内蔵エフェクトを搭載しているのに、ピッキングのニュアンスもきれいに出るといわれるほどの作りで評価が高いアンプです。
このSpiderⅤMkⅡ120であれば、アンプのモデリングはもちろんのこと12インチスピーカーの音圧感のあるサウンドと多彩なエフェクトで、練習からライブまで全部こなせるといっても過言じゃないでしょう。
ケンパー プロファイリングアンプ
これはアンプといって良いのでしょうか、エフェクターというべきなのでしょうか。
非常にクオリティの高いアンプシミュレーターについにパワーアンプが搭載された、最強のヘッドアンプです。
プロのギタリストがライブでも使用するほどのクオリティの高さなので、モデリングアンプの頂点にいるといっても過言ではありません。
専用のキャビネットも出ています。
コンボアンプ
次は持ち運びもしやすい真空管コンボアンプです。
フェンダー 65ツインリバーブ
フェンダーのサウンドといえばやはりこのアンプ。
フルチューブアンプで85Wもの出力を持っており、スタジオでの練習から大型会場でのライブまで様々なシーンで使うことのできる、フェンダー伝統のサウンドです。
自宅で10分使えば、家族から家を追い出されること間違いなしです。
VOX AC30
こちらはVOXの代表作、AC30です。
映画ボヘミアン・ラプソディではブライアン・メイがスタジオでボリュームを限界まで上げてパワー感を歪ませながらギターソロを奏でるシーンが印象的。
非常に気持が良いサウンドをしています。
もちろん現行モデルではしっかりとゲインとマスターが別れていますから、音量調整は問題ありませんよ。
スタックアンプ
ヘッドアンプとスピーカーがセパレートした、音に見た目に本気で拘る人のアンプです。
マーシャル JCM800
大迫力のディストーションサウンドで、80年代からハードロックやメタルのサウンドを支え続けてきている伝統のアンプ。
100Wの大出力でギャンギャン歪んだ音はギター少年の心を今でも掴み続けており、ギター界では不動のチャンピオンです。
EVH 5150Ⅲ
カラッとしたブラウンサウンドで超絶な速弾きを奏でるギタリストと言えばヴァン・ヘイレン。
その名を冠したギターアンプがEVH5150Ⅲです。
当時のものとは違いますが、それでも彼のサウンドを目指す人にとってはこのアンプは避けて通れません。
ヒュースアンドケトナー GrandMeisterDelux40
他の無機質な見た目のヘッドアンプたちとは違い、電源を入れるとショーパブのようなブルーのネオンで文字が浮かび上がる、非常にきれいなアンプです。
もちろん見た目だけではなく音色も実力派で、クリーンのきらびやかな音からディストーションサウンドのジャキジャキした音までバランス良く響かせます。
コンパクトなボディは実用性も兼ね備えており、アッテネーターの採用によって出力を切り替えできるので、ライブでの大音量から自宅での小音量の練習まで、とても使いやすいアンプです。
目的に合わせたアンプを用意しましょう
ではまとめます。
- ギターアンプは真空管とトランジスタがあるけど、正直好みでいい
- 自宅用とライブ用は分けたほうが良い
- モデリングアンプも十分使える
ぜひ先程のチャートを使って、アンプ選びの参考にしてもらえればと思います。
エレキギターのアンプってスタックとかコンボとか、マーシャルとかBOSSとかメーカーも形もたくさんあるよね。
なんかそれぞれに違いがあるみたいだし、アナログとデジタルがあるとかもうさっぱり。
それってそんなにちがうものなの?
なんか手軽に自分にあうアンプを選ぶ方法とか教えてくれない。